社内教育の必要性や実践方法

社内教育の必要性や実践方法は? 最近の傾向と共に解説!

会社に新人が入ってくる際、必要になるのが社内教育です。社内教育は仕事のやり方を教えるだけではありません。会社の一員になる自覚を持ってもらったり、新たなスキルを身につけたりするためにも大切です。

今回は、社内教育を効果的に行う方法や、社内教育のあり方などを解説しましょう。

  1. 社内教育の基礎知識
  2. 社内教育の実践方法
  3. 社内教育を行う際の注意点
  4. 社内教育に関するよくある質問
  5. おわりに

この記事を読めば、社内教育を行うタイミングや、新人以外の社員教育のやり方などもよく分かります。今まで行ってきた社内教育の方法を見直したいという人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.社内教育の基礎知識

はじめに、社内教育の必要性や効果について解説します。なぜ、社内教育が必要なのでしょうか?

1-1.社内教育の内容や目的

社内教育とは、その会社で働くために必要な知識や仕事のやり方、ビジネスマンとしての礼儀やマナーを教えるために行う教育です。社内教育は、新卒入社した人や転職者に行うものというイメージがありますが、仕事を行う上で必要な知識を新しく身につけるため、中堅社員や管理職に対しても行う必要があります。

1-2.社内教育の必要性

社内教育は、単に仕事のやり方を教えるだけではありません。会社の一員としての自覚を持ち、会社で働くためのルールを教えることも大切です。たとえば、SNSが発達した現在では、誰でも世界中に向けて情報を発信できます。その反面、社外秘の情報をSNS上で公開してしまったり、会社の信用を失わせるような発言を社員がしてしまったりする可能性もあるでしょう。そのようなことを行わないように、規則や禁止事項を教えるのも社内教育の役目です。
また、時代の変化によって新しく身につけなければならない知識や技術もあります。それらを身につけるためにも、社内教育はすべての従業員に対して必要です。

1-3.最近の傾向

かつて社内教育は、教育係の社員や専門的な知識を持った社員が行うのが一般的でした。しかし、今は外部から専門の講師を招いて専門知識の教育を行ったり、社員が外部のセミナーを受けに行ったりすることも珍しくありません。中には、「管理職セミナー」のような、リーダーを育成するセミナーなどもあるほか、社内教育を行う人材を育成するためのセミナーなどもあります。

2.社内教育の実践方法

この項では、社内教育の実践方法について解説します。どのようなタイミングで教育を行えば、より効果的なのでしょうか?

2-1.社内教育を行うタイミング

社内教育は、その内容によって以下のようなタイミングで行うといいでしょう。

  • 新人教育:新卒や、転職してきた社員向けの教育を行う。新卒の場合は、入社してから数か月にわたってビジネスマナーなど基本的なことを教える。転職者の教育は新卒よりも簡易的なものを、やはり入社した直後から数日~1週間かけて行う
  • 安全(衛生)教育:労働災害を防ぐための教育のこと。半年に1度など定期的に行うことが大切
  • 専門的な教育:その知識が必要とされる人や部署を集め、1~3日かけて集中的に行う。場合によっては定期的に教育をすることも大切
  • 管理職教育:管理職に新たに就く人向けの教育であり、昇進が決定した後などに行う

2-2.社内教育は誰が行うのか?

前述したように、かつて社内教育は社員が行ってきました。しかし、仕事で必要な知識がより専門的になったり、新しい情報が次々と更新されていくような現場だったりした場合は、社員同士で教育を行うにも限度があるでしょう。ですから、新人教育は中堅社員が行い、専門的な教育は外部から講師を招き、管理職教育は社員にセミナーを参加してもらうなど、臨機応変な方法を取った方がうまくいきます。職種によっては、業界で作る団体が定期的に教育セミナーなどを行ってくれるので、それに参加してもいいでしょう。
また、安全教育は安全管理者や衛生管理者といった、専門の職務に就いている人が行うのが一般的です。

2-3.教育者を作る方法

単に会社の仕事を教えるくらいならば、先輩社員でも十分に行えます。しかし、社会人として必要なビジネスマナーなどの知識を正確に教えるためには、教育者にも勉強が必要です。中堅社員を教育者にあてる場合は、1つの仕事として割り振りましょう。必要ならば、セミナーなどにも参加させることが大切です。経営者が、「仕事の合間に新人教育を行っておけばよい」という態度では、いけません。

2-4.非正規社員向け教育について

今は、パートやアルバイト、派遣社員などが従業員の大半を占める企業も珍しくありません。パートやアルバイトに正社員と同じような社内教育を受けさせている余裕はないという企業も多いでしょう。しかし、だからといって仕事のやり方を教えるだけでは、教育不足からトラブルが発生することもあります。そのため、全従業員が知っておかなければならない会社のルールや仕事に必要な知識などは、しっかりと教育しましょう。安全教育や衛生教育と併せて行えば、効率的です。

3.社内教育を行う際の注意点

この項では、社内教育を行う際の注意点を解説します。

3-1.新人教育は時間に余裕を持って行う

新卒で入社してきた社員は、覚えることがたくさんあります。あまり大量の知識を短時間で詰めこめば、身につきません。最低でも1週間、時間に余裕を持たせたいのならば2週間はみっちりと教育の時間にあてましょう。転職してきた人の場合も、全く畑違いの分野から転職してきた場合は、長めに教育を行う必要があります。

3-2.セミナーの内容はよく吟味する

ビジネスマン向けのセミナーは、魅力的なテーマのものがたくさんあります。経営者からすれば、できるだけたくさんのセミナーを受けてもらい、会社に必要な知識を吸収してほしいと思うこともあるでしょう。しかし、セミナーの内容によっては正反対のことをすすめたり、禁止したりしているものもあります。ですから、セミナーの内容はよく吟味して、本当に会社にとって必要な知識を身につけられるものを厳選しましょう。

3-3.古い知識を押し付けないことが大切

ビジネスの常識やルールは、年月と共に代わっていきます。今までは当たり前だったビジネスマナーも、合理的でないという理由から、すたれつつあるものもあるでしょう。社内に教育マニュアルがある場合、それに沿って教育をすれば簡単です。しかし、マニュアルも定期的に見直さなければ、今ではすたれてしまった古い知識を押し付けるだけになってしまいます。

3-4.体育会系の教育セミナーは適性が大切

2000年代前半に、意識改革を目的とした社内教育セミナーが流行した時期がありました。そのようなセミナーでは、極端に睡眠時間を短くしたり、大勢の人の前で大声を出したりするなどの教育が行われることもあります。そうしたセミナーで意識が改革され、仕事に前向きに取り組めるようになることもありますが、反対に自信を失ってしまう人もいるでしょう。体を動かすことの多い厳しい内容のセミナーは、学生時代に運動部に所属していたなど適性を持った人がおすすめです。評判がいいからと無理に全員を参加させると、逆効果になることもあるでしょう。

4.社内教育に関するよくある質問

Q.社内教育は、複数人で行った方がよいのでしょうか?
A.はい。中堅社員に余裕があるならば、仕事を教える人とビジネスマナーや社会人の常識を教える人と、分けた方がいいですね。また、ビジネスマナーを学ぶときだけ外部から講師を招くという方法もあります。

Q.社内教育を社内で行う場合、中堅社員のフォローはどうしたらいいでしょうか?
A.仕事の量を減らしたり、新人教育の成果を考査に反映したりするといいですね。社内教育を面倒な仕事と思わせないようにすることが大切になります。

Q.社内教育を丸ごと外部の業者に依頼ことは可能ですか?
A.可能ですが、それなりに費用がかかるので慎重に検討しましょう。毎年、新卒の社員が入ってくる時期と繁忙期が重なってしまうなどという場合は、外部に教育を依頼した方がおすすめです。

Q.ビジネスマナーは、各自市販されている本などを読むように指導するだけではダメでしょうか?
A.基礎知識ならばそれで身につきますが、会社内や業界内の独自のルールなどは、教えなければ身につきません。特に、報告や連絡の仕方はしっかりと教えましょう。

Q.定年退職した社員を嘱託として再雇用し、社員教育を任せることは可能ですか?
A.希望者がいれば可能ですが、なり手がいない場合もあるでしょう。選択肢の1つとして考えておき、希望者が出たら実践方法を考えてみましょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は、社内教育の必要性や実践方法などを解説しました。人手不足や仕事に必要な知識がより専門化したことにより、社内の人間だけで教育を行うには限界がある、という企業も珍しくありません。マニュアルを作成し、各人に配布するだけでは、社内教育は不十分です。外部のセミナーに参加する、講師を招くなど選択肢を増やすことも大切でしょう。また、新卒の社員は右も左も分からないのが当たり前です。教える側に心の余裕がないと、短所ばかりが目についてしまったり、厳しい言葉をかけがちだったりします。その結果、新卒社員が短期間でやめていくこともあるでしょう。そして、従業員が社員教育を担う場合は、教育をする方にもサポートが必要です。講師役を複数の社員に振り分けるなどして、1人だけに負担が集中しないようにしましょう。また、新人教育も立派な仕事です。講師役の社員の仕事は、周囲の人がサポートするなどの体制づくりも必要になります。そうすれば、教える側も心に余裕を持って新人教育に当たることができるでしょう。安全教育や衛生教育をする場合も、その間の職務をサポートする人を作ることが大切です。