部下の上手な叱り方は? 叱る前に知っておくべき7項目を紹介!
「部下の上手な叱り方を知りたい」「どう指導したらよいのか?」と悩んでいる人は多いでしょう。一緒に仕事をする上で、必要なときに部下を叱るのは当然のことです。しかし、叱り方や怒り方を間違えると部下との関係が悪くなってしまうでしょう。部下との関係をよくし、仕事をしやすい環境を作るのは大切なことです。部下から嫌われたり苦手意識を持たれたりすると、職場の雰囲気も悪くなってしまいます。この記事では、部下への上手な叱り方や、してはいけない叱り方などをご紹介しましょう。
この記事を読むことで、部下の叱り方について知っておくべきことが分かるはずです。ぜひ参考にして働きやすい環境を作ってください。
1.部下を叱る場合とは?
どんな場合に部下を叱るのか、叱る前に覚えておくべきことなどをまとめました。
1-1.叱るのは部下の気持ちに問題があったとき
上司として叱る必要があるのは、部下の気持ちに問題があったときです。本人が真面目に仕事をした結果、招いてしまったミスについては、叱ってはいけません。叱るのは、気のゆるみや甘えが原因でミスをした場合です。たとえば、正当な理由がなく遅刻をした場合や、問題を先のばしにして対応が遅れた場合などは、本人が意識していないことも多いため、上司がしっかりと叱ってあげる必要があるでしょう。
1-2.責めるのではなく、成長させることを考える
部下を叱る前に覚えておきたいのが、「責める」のではなく、「成長させること」を考える必要があるということです。責めるように叱ってしまうと、部下は萎縮してやる気を失ってしまうこともあります。失敗を反省し、同じ失敗を繰り返さないように成長させることが、上司としての大切な役割だということを覚えておきましょう。
1-3.叱るタイミングを見極めることも大切
叱るタイミングにも注意が必要です。もちろん、問題を起こしたときにその場で叱るのが一番でしょう。しかし、相手に余裕がないときや周りに大勢の人がいるときなどは、時間や場所を変えて叱るようにしてください。特に、人前で叱るのは相手のプライドを傷つけてしまう可能性があるため、やめたほうがよいでしょう。
2.部下への上手な叱り方
部下への上手な叱り方とは、どのようなものなのでしょうか。ポイントをご紹介します。
2-1.まずは、事実を確認する
一方的に叱る前に、まずは事実を確認しましょう。相手の言い分を聞かずに叱ってしまうと、誤解があっても気づくことができません。反論できず、自分の気持ちを押し殺して我慢してしまう部下もいるでしょう。そうならないためにも、お互いに事実が把握できるまで話し合うことが大切です。
2-2.自分の気持ちも伝える
事実に対してどう思ったか、自分の気持ちを伝えることも必要です。たとえば、「連絡もなく遅刻してきたので事故にあったのかと心配になった」など、怒り以外の感情を伝えるようにしてください。
2-3.具体的な改善点を伝える
次は、具体的な改善点を伝えましょう。「同じ失敗を繰り返さないように」「もっと頑張れ」など、抽象的に伝えるのではなく、失敗しないためにはどうしたらよいのか、具体な案を出してあげてください。
2-4.最後は相手の気持ちが前向きになるように
最後に、部下の気持ちがプラスの感情になるようにしてあげましょう。普段の仕事ぶりを評価し、「あなたならできる」というように、自信をつけてあげることが大切です。そうすることで、「失敗をして注意されたけれど、今後は頑張ろう」というように、前向きな気持ちになれるでしょう。
3.部下への叱り方、シチュエーション別
シチュエーション別に、部下への叱り方をご紹介しましょう。
3-1.プライドが高い部下を叱る場合
プライドが高い部下には、肯定的な言葉を選んで叱ることが大切です。叱られることでプライドが傷つき、素直に忠告を聞き入れようとしなくなることもあるでしょう。特にやってはいけないのが、人前で叱ることです。さりげなく人のいない場所に連れ出し、静かに叱るようにしましょう。
3-2.激しく反論してきた場合
部下に反論されると、上司としてもつい感情的になってしまうと思います。しかし、そこで自分も感情的になってしまうと、部下との関係悪化を招いてしまうでしょう。そうならないためには、まず相手の心情を理解するように努めてください。冷静な話し合いができないようなら、第三者を交えて話し合いをすることも大切です。
3-3.何度も同じ失敗を繰り返している場合
同じ失敗を繰り返す部下を何度も叱るのは、上司としても気持ちのよいものではないでしょう。この場合、失敗のたびに指摘をして叱るだけでは、効果は期待できません。なぜ失敗してしまうのか、その原因と対策案を部下自身に考えさせることが大切です。
4.やってはいけない部下への叱り方
やってはいけない部下への叱り方についてご紹介します。
4-1.可能性を否定する
部下の可能性を否定するような叱り方はしてはいけません。「この仕事に向いていないんじゃないか」といわれてしまった部下は、今後その会社で働き続ける意欲を失ってしまうでしょう。部下の存在を否定することにもつながるため、十分注意してください。
4-2.過去の失敗を持ち出す
過去の失敗を持ち出し、一気に怒りを吐き出すような叱り方はやめてください。現在の問題に、過去の失敗は関係ありません。上司への信頼も改善への意欲も失ってしまう可能性があるでしょう。
4-3.ほかの人と比べる
「ほかの人はできるのに、なぜおまえはできないのか?」というように、ほかの人と比較する叱り方は絶対にしてはいけません。なぜなら、能力や状況は人やタイミングによって異なるからです。人は誰でも自尊心を持っており、人に比較されることを不快に感じます。
5.異性の部下への叱り方
特に難しいのが、異性の部下への叱り方です。男女の違いや叱り方のポイントをご紹介しましょう。
5-1.男性と女性では受け止め方に違いがある
男性と女性では、上司から叱られたときの受け止め方に違いがあります。女性は男性に比べ、理屈でなく感覚で受け止めることが多いのです。そのため、威圧的な態度で叱ると反発されてしまう可能性があるでしょう。アドバイス的な叱り方をしたほうが素直に受け止めてくれる場合が多いということを覚えておいてください。
5-2.性別を叱る理由にしない
異性の部下を叱る際に最も大切なのは、「性別を叱る理由にしない」ということです。たとえば、「女のくせに気が利かない」「男のくせに頼りない」などという言葉を使うのは、セクハラに該当する可能性もあります。叱るときは、性別ではなく1人の社会人として部下を見るようにしてください。
6.部下への叱り方で変わること
部下への叱り方でどのようなことが変わるのでしょうか。
6-1.叱ることは部下を育てる上で必要
叱ることは、部下を育てることにつながります。なぜなら、上司から叱られることで部下は自分の問題に気づき、「叱られないためにはどうしたらよいのか」を考えることができるようになるからです。叱られたときは嫌な気持ちになっても、いずれきっとそのことに感謝するときがくるでしょう。嫌われることを恐れず、部下のために上手に叱ることができる上司は、部下にとっても「理想の上司」になれるはずです。
6-2.叱ることで得られる効果とは?
部下を叱ることで得られる効果には、以下のようなものがあります。
- やる気を引き出すことができる
- 自分の間違えに気づくことができる
- 可能性を広げることができる
- 自分も成長できる
6-3.叱っても自己嫌悪に陥る必要はない
部下を叱った後、自己嫌悪に陥る人も少なくないでしょう。「言い方がきつかったのではないか?」「嫌われたのではないかと不安」という人も多いはずです。しかし、目的がしっかりとある上で叱った場合は、自己嫌悪に陥る必要はありません。「必ず部下のためになる」と信じて、正しく導いてあげましょう。
7.部下への叱り方に関するよくある質問
「部下への上手な叱り方を知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。
Q.叱るのと怒るのはどう違うのですか?
A.叱るのは相手の成長や望ましい行動を促すためにするもので、怒るのは自分本位の行為といえます。思いどおりにならないときに出る感情が怒りであり、相手のことを考えた行為とはいえないでしょう。
Q.間違った叱り方が引き起こすデメリットにはどのようなものがあるのですか?
A.部下の反発を招き、仕事の生産量が落ちること、職場の雰囲気が悪くなることなどが考えられます。
Q.叱っても好かれる上司というのは、どのような人物でしょうか?
A.ルールを明確にして叱れる人、人のために叱れる人です。また、人の顔色をうかがうことなく素直に叱れる人も、好かれます。
Q.部下は「叱ってくれる上司」を求めているのでしょうか?
A.もちろん、「自分のことをちゃんと見てほしい」「きちんと指摘して気づかせてほしい」と思っている部下もたくさんいます。ただし、厳しい叱責や感情的に怒ることは求めていない人がほとんどです。
Q.叱った後のフォローとして飲みに誘うのは正解でしょうか?
A.上司から飲みに誘われることを迷惑に感じる部下も必ずいます。毎回飲みに誘うのではなく、ランチに誘うなどしてコミュニケーションをとるのもおすすめです。
まとめ
いかがでしたか? 部下への上手な叱り方について詳しくご紹介しました。上司として、部下を叱らなければならない場面は必ずあります。間違えた叱り方をすると、部下の反感を買ったりやる気を失わせたりすることになるため、注意が必要でしょう。部下とのよい関係を築き、働きやすい職場を作るために、ぜひこの記事を参考にしてみてください。