アンガーマネジメントとは? 怒りを抑えて職場環境を円滑にするコツ
「思ったように働かない部下に対してつい大声で怒鳴ってしまう」「なんでこんなこともできないんだと怒りが収まらない」仕事をしている中で、このような経験はありませんか? イライラを他人にぶつけてしまった経験や、いつまでも怒りが消えなくてつらい思いをした経験は、少なからず誰にでもあるのではないでしょうか?
しかし、怒りまかせに感情を相手にぶつけていては職場の雰囲気が悪くなり、円滑に業務を進められなくなってしまう恐れもあるでしょう。そこで取り入れたいのが、アンガーマネジメントです。
この記事では、アンガーマネジメントの効果や取り入れ方などをご紹介しましょう。
- 職場と怒りの関係
- アンガーマネジメントとは?
- アンガーマネジメントの目的・重要性
- アンガーマネジメントの効果について
- 怒りのタイプをセルフチェック
- アンガーマネジメントを身につける方法
- アンガーマネジメントに関するよくある質問
この記事を読むことで、怒りの感情をコントロールする方法や重要性が分かるはずです。ぜひ参考にして、穏やかな毎日を送ってください。
1.職場と怒りの関係
職場で他人と協力して業務を進める際、ついつい怒りを感じでしまう場面は多いでしょう。職場において怒りの感情が起こる原因や起こり得るトラブルについてまとめました。
1-1.怒りが起こる理由
職場で怒りが発生しやすいのは、自分の思いどおりにならない場面が多いためです。仕事がスムーズに進まないとついイライラしてしまいます。期限が決まっている仕事ならなおさらでしょう。プレッシャーも加わり、ついピリピリした気持ちになってしまいがちです。
また、職場では自分以外の他人と協力して仕事を進めていく必要があります。その中には「意見が合わない上司」や「仕事ができない後輩」「嫌いな同僚」などが含まれる場合もあり、ストレスやイライラが生まれやすいのです。
1-2.トラブルに発展することも
職場での怒りやストレスが原因で、トラブルに発展するケースも少なくありません。実際に、「職場の人間関係に悩んでいる」という人は多いでしょう。仕事がうまくいかなくて、つい部下にきつく当たってしまったことや、いつもイライラしている上司のせいで居心地の悪さを感じたという経験はありませんか? そういった出来事をきっかけに、相手とぶつかってしまうこともあるでしょう。人間関係のトラブルは、必ず仕事にも支障をきたすものです。より仕事がやりにくくなって、さらにストレスをため込んでしまうという悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。
2.アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、怒りの感情を管理して上手に付き合うためのプログラムで、1970年代にアメリカで生まれました。もともとはドメスティックバイオレンスや軽犯罪者への矯正プログラムとして開発されましたが、現在は教育機関や企業などにも導入されているのです。簡単に説明すると、自分の怒りがどのように起こりやすいのかを把握し、上手な怒り方やストレスの減らし方を知るためのトレーニングのことをいいます。
2-1.アンガーマネジメントの効果
アンガーマネジメントによって得られる効果には、以下のようなものがあります。
- 人間関係がうまくいくようになる
- イライラしなくなる
- 怒りをエネルギーに変えてモチベーションを上げられる
- 職場の雰囲気がよくなる
- 自分を好きになれる
2-2.最近の傾向
アンガーマネジメントは、日本にも少しずつ浸透してきています。特に、職場でのストレスを抱えがちな現代社会において、注目を集めてきているのは確かでしょう。実際に、職場の人間関係に悩む人が増えたことを背景に、導入する企業が増えてきています。
3.アンガーマネジメントの目的・重要性
ここでは、アンガーマネジメントの目的や重要性についてご紹介します。
3-1.アンガーマネジメントの役割
怒りの感情が起こりやすい「職場」という環境では、仕事に対するモチベーションが落ち、生産性の低下にもつながってしまうでしょう。もちろん、怒りの感情が必要なときもあります。問題は、その感情を「うまくコントロールできるか」ということです。感情的に怒りを爆発させることは、相手だけでなく自分を傷つけることになります。そういった事態を防ぐためにも、感情をコントロールすることが必要なのです。
3-2.どんな場合に必要か?
アンガーマネジメントが必要になる場面や環境には、さまざまなものがあります。たとえば、以下のようなものが考えられるでしょう。
- 社員のコミュニケーション不足が懸念される企業
- 子育て中のお父さん・お母さん
- 入社や転勤・入学などで環境が変わった人
- 人間関係に悩む子ども
3-3.企業や個人においての重要性
アンガーマネジメントは、状況に応じて感情をコントロールできるようになるために必要なものです。適切な問題解決ができるようになるため、企業においては人間関係に悩むことなく仕事に集中できるようになります。その結果、生産性の向上にもつながるでしょう。個人においても、相手を傷つけることなくコミュニケーションをとることができるようになります。怒りによるストレスがなくなり、過ごしやすい毎日を手に入れることができるはずです。
4.怒りのタイプをセルフチェック
まずは、自分の「怒りのタイプ」を把握しましょう。
4-1.セルフチェック項目
まずは、質問に対して以下のように答えてください。
- まったくそう思わない…1点
- そう思わない…2点
- どちらかというとそう思わない…3点
- どちらかというとそう思う…4点
- そう思う…5点
- すごくそう思う…6点
【質問】
- Q1.世の中のルールに人は従うべきだ
- Q2.物事は納得のいくまで突き詰めたい
- Q3.自分に自信があるほうだ
- Q4.人の気持ちを誤解することがよくある
- Q5.強いコンプレックスがある
- Q6.リーダー的な役割が自分に合っていると思う
- Q7.たとえ小さな不正でも見逃されるべきではない
- Q8.好き嫌いがはっきりしているほうだ
- Q9.自分はもっと評価されてもいいと思う
- Q10.自分で決めたルールを大事にしている
- Q11.人のいうことを素直に聞くのが苦手だ
- Q12.いいたいことをはっきりと主張すべきだ
4-2.怒りのタイプを診断
上記の質問に対する答えから点数をつけ、一番高いものが自分の「怒りのタイプ」です。
- Q1+Q7=公明正大
- Q2+Q8=博学多才
- Q3+Q9=威風堂々
- Q4+Q10=外柔内剛
- Q5+Q11=用心堅固
- Q6+Q12=天真爛漫
4-2-1.公明正大
「ルールは守るべき」という信念を持っているため、マナー違反をしている人に怒りが湧きやすいタイプです。正義感が強く、他人のことに口出しをしてしまうことも多いでしょう。そのため、人間関係がうまくいかなくなってしまうことも少なくありません。
4-2-2.博学多才
完璧主義のため、自分と正反対の人に対してイライラすることが多いでしょう。白黒をはっきりつけたがり、優柔不断な一面はあまり持ち合わせていません。
4-2-3.威風堂々
プライドが高く、物事が思うとおりにすすまないとストレスを感じやすいでしょう。周囲からの評価が低いとひどく傷つき、怒りを感じることも少なくありません。
4-2-4.外柔内剛
自分の信念に反することが起こると、怒りを感じてしまいます。
4-2-5.用心堅固
人を本気で信じることができず、人間関係において他人と距離を置いてしまいがちでしょう。
4-2-6.天真爛漫
「思ったとおりに行動すべき」という考えが根本にあるため、そのとおりにならないとストレスを感じて怒りに変わってしまうこともあります。
5.アンガーマネジメントの身につける方法
では、アンガーマネジメントを身につける方法をご紹介しましょう。
5-1.怒りのコントロール
アンガーマネジメントでは、怒りをコントロールできるようになるため、3つのプログラムが用意されています。
- 生理的反応への対応:ストレスマネジメントを学ぶことで、身体やこころを鎮静化する
- 認知反応への対応:こころの状態を整理するために「考える力」を育てる
- 向社会的判断力・行動力の育成:自分の気持ちを表現するためのソーシャルスキルを学ぶ
5-2.内容と流れ
上記のプログラムを目的とし、5つの過程で具体的に学んでいく流れになっています。
第1過程:刺激に対する反応についての理解。怒りが起きそうなときの応急対応を学ぶ
第2過程:感情や考え方など、行動の原因を理解する。行動のメリット・デメリットを整理
第3過程:自分の特性を理解し、行動を変えたいという動機づけをする
第4過程:適切な怒りの表現方法を学ぶ
第5過程:場面別における問題解決のロールプレイング
5-3.注意点
アンガーマネジメントはあくまでも「怒りとうまく付き合うこと」を目的としたものであり、怒りを我慢するためのものではありません。怒りの感情はときとして必要なものです。抑え込むのではなく、必要のあるときは上手に怒り、必要のないときは怒らないようになることが大切でしょう。そのことを踏まえた上で、自分にアンガーマネジメントが必要かどうか考えてみてください。
6.アンガーマネジメントに関するよくある質問
「アンガーマネジメントについて知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。
Q.「怒る」ことにはどのようなデメリットがありますか?
A.人間関係が悪化する恐れがあること以外にも、血圧が上がって心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるなど、身体的な悪影響も考えられるでしょう。
Q .怒りの感情自体は悪いものではないのですか?
A.怒りの感情を持つこと自体が、悪いわけではありません。問題は、怒りを感じた自分を受け止めてあげられるかどうかでしょう。
Q.改善が必要な「問題のある怒り」とはどのようなものですか?
A.「いったん怒り出すと止まらない」「いつまでも起こり続ける」「怒る頻度が高い」といったものでしょう。もちろん、人やものを傷つける攻撃性のある怒りも問題です。
Q.怒るとつい感情的になってしまいます。どうすればこころを落ち着けることができるでしょうか?
A.「怒り」という感情のピークは、長くて6秒しか続かないといわれています。つまり、6秒やり過ごせば怒りのピークを越えることができるのです。頭にきている内容を手のひらに書いてみるなど、身体を使いながら6秒待つことをおすすめします。
Q.怒ることと怒らないことの境界は何でしょうか?
A.どちらを選択したかで、後悔するかどうかです。怒ったことで後悔するのか、怒らなかったことで後悔するのか、その線引きを考えられるようになるのが理想でしょう。
まとめ
いかがでしたか? アンガーマネジメントの効果や方法などを詳しくご紹介しました。ストレス社会といわれている今の時代、怒りの感情をコントロールすることは精神状態を安定させるためにも非常に重要です。職場内の人間関係を円滑にするためにも、ぜひアンガーマネジメントを取り入れてみてください。