ダイアログがビジネスに効果的

ダイアログ(対話)がビジネスに効果的な理由と方法を徹底解説!

「ダイアログ」とは、相手と志向性・価値観を共有する「対話」を意味しています。近年、ビジネスにおいて関心が高まりつつあり、コミュニケーションやパフォーマンスの向上に必要なものといわれているのです。しかし、具体的にどんなことをするのか分からないという方も多いでしょう。まずは、ダイアログについて知るところからスタートし、ポイントを押さえることが大切です。本記事では、ダイアログの基礎知識と効果・対話のやり方・ポイントについて説明します。

  1. ダイアログ=対話とはどんなもの?
  2. ダイアログが注目される理由は?
  3. ダイアログ(対話)がもたらす効果
  4. ダイアログ=対話のやり方
  5. ダイアログ成功のポイント
  6. ダイアログに関してよくある質問

この記事を読むことで、ビジネスで活用できるダイアログ=対話の方法とポイントが分かります。気になっている方は、ぜひチェックしてください。

1.ダイアログ=対話とはどんなもの?

ビジネス面で活用できる「ダイアログ(会話)」とは、一体どのようなものなのでしょうか。

1-1.ダイアログとはどんなものか

ダイアログは、英語で「dialogue」といい「対話」という意味があります。ハッキリとした定義はありませんが、お互いの理解を深めるためのコミュニケーション方法です。相手を目的に向かって対話的に導く対話処理(dialog system)がありますが、その基本アイテムとして知られています。つまり、スムーズに仕事をすすめるために必要な「対話」のことを指しているのです。目の前にいる人と理解し合うために、必要なものといえるでしょう。

1-2.目的と必要性

ダイアログ(会話)は、組織内や相手との意思疎通を図る目的があります。「企業の方針が不明確」「役割分担ができていない」「知識共有ができず、個人任せになっている」などの悩みを、ほとんどの企業で抱えているのではないでしょうか。社内でのコミュニケーションがきちんとできていなければ、「聞いていなかった」「知らない」などトラブルのリスクが高まります。また、取引先とのやり取りもスムーズにすすまず、企業の運営にも悪影響をおよぼしかねません。
つまり、ダイアログは、組織の一体感と活力を高め、上下関係の垣根を超えた「コミュニケーションの向上」だけでなく、全員が問題に気づき一緒に解決を行う「パフォーマンスの向上」にもつながるのです。ビジネスにおいて成功を収めるための大切なポイントの1つといえるのではないでしょうか。

2.ダイアログが注目される理由は?

ビジネスで大切な要素だと分かりましたが、なぜ近年、注目度が上がっているのでしょうか。最近の傾向と注目度、ディスカッションとの違いについても解説します。

2-1.最近の傾向、注目度は?

現代は、インターネットが幅広く普及し、さまざまなコミュニケーションツールがあります。たとえば、メールを始め、グループウェア・ファイル共有・ビジネスチャット・社内SNSなどです。しかし、これらのコミュニケーションツールが増えすぎて活用がうまくいかず、直接顔を合わせて会話をする機会が減っています。そんな社会背景があるからこそ、「ダイアログ(対話)」の注目度が上昇しているのです。
また、上司・部下を交えた会議では、どうしても上司の意見ばかりが通ってしまうので、部下との意思疎通ができません。上司側は満足かもしれませんが、部下からすると不満でしかなく、後々のトラブルにつながるおそれがあります。上下関係なく意見を言い合い、理解し合うのも「ダイアログ(会話)」における大切な要素なのです。

2-2.ディスカッションとの違いは?

ダイアログ(対話)=ディスカッションと思われがちですが、この2つには大きな違いがあります。それは、「目的」です。
ディスカッションは、主題について異なる立場に分かれ、論議することをいいます。主な目的は、「合意をつくり出し、優れたアイディアを選び出すこと」です。つまり、より優れたアイデアを出したほうの勝ちという流れとなります。
一方、ダイアログに「勝ち」「負け」は存在しません。相互理解を深めることが目的なので、どちらのアイディアが優れているのか競い合う議論とは大きく異なります。
以下に、ディスカッションとダイアログの主な違いをまとめましたので、ぜひ心に留めておいてください。

<ディスカッション>

  • 自分の意見を正しいものとする
  • 理論的に主張をぶつけ合う
  • どちらが優れているのか、ベストな答えを決める

<ダイアログ>

  • 全員で意見を持ち寄る(自分の意見が正しいと思わない)
  • 共通の理解を深め、探求し、意見を考える
  • 共通の思想を探す

3.ダイアログ(対話)がもたらす効果

ダイアログがもたらす効果とは、具体的にどのようなものでしょうか。

3-1.どんな場合、企業、人に必要か

新しいプロジェクトチームが誕生した直後は、お互いの理解度が低く思うようにすすまないケースがほとんどだと思います。そんなチームの成熟度が低いときにこそ、ダイアログを活用するベストタイミングです。組織構成が変わったときなど、チーム・企業全体の意志を固めまとめるときこそ必要となります。
また、「自分自身の思考を知り感情をコントロールしたい」「スキルアップしたい」と思うときもダイアログがおすすめです。ダイアログは自分がどんなことを考え、どんなときに感情が高まるのかなどを知るために適している方法となります。その結果、1人1人が仕事に対する気持ちや姿勢、組織の風土が形成できるのです。

3-2.主な効果

ダイアログの主な効果を以下にピックアップしてみました。

  • チーム・組織の一体感と信頼感を深める
  • 他者の思考を知り、固定観念・偏見がなくなる
  • 自分の思考を観察し、悪い癖を直す機会が得られる
  • 関係と思考の質が向上する
  • 自信をつけ、自分を受け入れられるようになる
  • よりよい協働関係を築くことができる

4.ダイアログ=対話のやり方

それでは、ダイアログ=対話のやり方をチェックしていきましょう。

4-1.方法

ダイアログを始めるにあたり、まずは、進行役となる「ファシリテーター」を1人立ててください。基本的に、ファシリテーターはしゃべりませんが、自分だけが知っている情報があるときだけ話をします。もし、チーム全体がディスカッションにすすんでいたら指摘し、ダイアログに戻すことが必要です。
そして、ファシリテーター以外の参加者は、自分の考え方や価値観を主張しません。たとえ、自分の意見や考え方に異を唱えられたとしても、反論せず受け入れることが大切です。また、ほかの参加者に対して批判・不満があったら心の中に留めておかずにそのまま出してください。ダイアログは、包み隠さずお互いに意見を述べ理解することが基本です。

4-2.主な流れ

もっと分かりやすくなるように、大まかな流れを以下にピックアップしてみました。

  • まず、ファシリテーター(進行役)を立てる
  • プロジェクトの内容など、お題に対して参加者が意見を述べる
  • 批判・不満がある場合は、全員が意見を言った後に伝える
  • 途中でディスカッションになった際は、ファシリテーターが指摘する
  • 仲間内で理解し合うことができたら終了

ダイアログがうまくいっているときは、お互いに「聞いてもらっている」という実感が得られます。また、チーム内で最も衝突する問題を話題に出し、それに対して参加者同士がきちんと向き合おうとするのです。ダイアログが成功した後は、チーム内の1人1人に新しい行動が生まれるでしょう。

4-3.注意点

最初からダイアログがうまくいくとは限りません。ここで注意しておきたいのが、「失敗したから」と諦めないことです。ダイアログ自体が、何度もくり返すことで高度化し、お互いが理解できるようになります。緊張感あふれる空気感ではなく、「理解してくれる人がいる」という「安全な場」という認識を全員で維持し続けることが大切です。

5.ダイアログ成功のポイント

なかなかうまくいかないときは、ここで説明するポイントをぜひ実践してみてください。

5-1.ポイントとコツは?

ダイアログのポイントは、「参加者全員がお互いを仲間と考えること」です。どちらの意見が優れているのかではなく、全員の意見を受け入れなければなりません。役職の上下・年齢などの差を意識せずに、常に相手への好奇心を持つように努めましょう。たとえ、自分とは反対の意見を持つ相手でも、「敵」ではなく「異なる意見を持つ仲間」と考えることが大切です。
また、ただお互いを理解し合うだけでなく、遊び心と新しい意見を検証する意欲も持ちましょう。誰が何を言ったか気にせず、冗談やバカなことを言ってもよいのです。気楽な気持ちで会話をするのが、ダイアログが持つ意味でもあります。

5-2.ゴールはどこか?

ダイアログのゴールは、「相互理解」と「お互いの信頼を高めること」です。ビジネスは仲間同士・取引相手との信頼関係が築けるからこそ成功へと近づきます。つまり、それまで気づかなかった共通の目的や見方を感じ取ることがゴールなのです。自分の意見を理解してもらいたいなら、まず、相手の意見を受け入れようとする姿勢を持ちましょう。自分自身の意識や受け止め方を変えていけば、「相互理解」「お互いの信頼関係」というゴールへと辿りつくことができるはずです。

6.ダイアログに関してよくある質問

ダイアログに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.ダイアログが成立する条件は?
A.ダイアログが成立する条件は、主に5つあります。それぞれの特徴を以下にまとめてみました。

  • すべての人が意見を述べ、話を聞く:特定の人が一方的に話すのではなく、全員が話し合える場づくりを行う
  • 断定せずに仮説を保留して話をする:自分の支持する仮説にこだわらず、探求的な話し合いを行う
  • 体験を語ることができる場づくり:体験をベースに話をすることで共感力が増し、他者の話から自分自身を深く顧みることができる
  • 主体的な選択をする:話し合いの場をコントロールするのではなく、自ら話し合いに参加するという主体的な認知を生み出す
  • 全体像が見える:参加者全員が全体像を意識し、集合的意識が高まる

Q.ダイアログを行う「テーマ」の決め方は?
A.なるべく、全員が対等になるテーマを設定してください。たとえば、「やりがいを感じる仕事とはどういうものか?」などです。逆に、小さいテーマを設定すると、そのテーマについて知識量の多い人の独壇場になってしまいます。テーマを決める場合は、参加者全員に興味があり、対等に会話ができるものか確認しましょう。

Q.ダイアログでやってはいけないことは?
A.参加者の1人が話をしている最中に割り込まないことです。「自分の意見を否定されたように感じたから」と、つい口をはさんでしまうことがあると思います。せっかく話をしているのに割り込まれると、嫌な気持ちになるでしょう。「この人は理解してくれない」と決めつけてしまうため、対等な会話や相互理解ができなくなってしまいます。まずは、参加者全員の話に最後まで耳を傾けることが大切です。意見を述べたいときは、全員の話が終わってからにしましょう。

Q.うまくいっていないときの兆候は?
A.ダイアログがうまくいっていないときは、意見が集約されがちです。新しい意見や知らなかった事実が出てこなくなり、意見が出てきたかと思えば「正しい・正しくない」の評価がされます。答えを見つけるための会話ではなく、お互いの理解を深めるための会話です。ダイアログはディスカッションとは異なり、意見が発散したままでよいとされています。

Q.参加者同士の衝突が起きやすいときは、どう対処すべきか?
A.「トーキング・オブジェクト」を活用しましょう。トーキング・オブジェクトとは、対話のテーブルの真ん中に置かれる「もの」です。たとえば、会社のマスコットキャラクターのぬいぐるみなどを用意しましょう。話をする人は、ぬいぐるみを手に取ってから話をするというルールがあります。トーキング・オブジェクトを活用することで、それを持つ人の会話を中断せずに最後まで聞く姿勢を保つことができるでしょう。

まとめ

いかがでしたか? ダイアログ=対話は、参加者同士が理解を深め、信頼関係を築くという目的があります。ビジネスにおいて、相手との理解・信頼関係はとても大切なものです。相手がどんな意見を持っているのか把握し、自身の意見を相手へ知ってもらうためにダイアログが必要となります。最初は失敗するかもしれませんが、くり返していけば少しずつ効果が生まれるでしょう。ダイアログを成功させるためにも、流れとポイントをつかんでから試してください。