畳にカビが生えて黒ずみができてしまった! 対処方法や予防方法を解説
「畳にカビが生えてしまった」「畳に黒ずみができていると思ったらカビだった」など、畳に生えるカビに悩んでいる人は多いこと思います。畳はイグサでできているので、条件によってはカビが生えやすくなるものです。カビが生えた畳は、早めに対処しないと全部交換することになるでしょう。また、カビの胞子を吸いこむとハウスダストアレルギーを発症することもあります。
今回は、畳にカビが生えてしまった場合の対処方法や畳にカビは生えるのを予防する方法を紹介しましょう。
この記事を読めば、正しい畳の掃除方法ややってはいけないカビ対策も分かります。畳のカビや畳の掃除方法に悩んでいる人や、畳をできるだけ長くキレイに保ちたい人は、ぜひ読んでみてくださいね。
1.畳にカビが生える原因
はじめに、畳にカビが生える原因を紹介します。
1-1.温度
カビは、0℃~40℃の温度で発生・繁殖します。特に活発に繁殖するのが、25℃~28℃です。これは人間にとっても過ごしやすい気温なので、1年中エアコンなどでこのくらいの温度に保っている家は、カビが生えやすいと言えるでしょう。
1-2.湿度
湿度も、カビが生える重要な条件です。湿度が70~80%あるとカビが生えやすくなります。部屋によってカビが生えやすいところと生えにくいところがある場合は、一部だけ湿度が高い可能性があるでしょう。ちなみに、1階と2階を比べると、1階の方がカビが生えやすい傾向があります。
1-3.畳の汚れ具合
皮脂やホコリはカビの栄養源になります。畳の上を素足で歩きまわることが多いと、カビが生えやすいでしょう。また、掃除の頻度が低くてもカビが生えやすくなります。
1-4.風通し
風通しが悪い部屋は、空気がよどみやすく湿度も高くなりがちです。閉めきった部屋の畳は、適度に風通しをしている部屋の畳よりカビが生えやすいでしょう。
1-5.畳の新しさ
畳に使われているイグサは、湿気を吸収して乾いた空気を放出する性質があります。新しい畳ほど吸収する湿気の量が多いので、カビが生えやすいでしょう。特に、新調して1~2年の畳はカビが生えやすい傾向にあります。また、畳の上にカーペットなど敷物を敷いていると、湿気がこもりがちになり、余計にカビが生えやすくなるので注意してください。
2.畳にカビが生えてしまった場合の対処方法
この項では、畳にカビが生えてしまった場合の対処方法を紹介します。ぜひ、参考にしてください。
2-1.軽度なカビは消毒用アルコールで拭きとる
畳の一部だけがカビているような場合は、以下のような道具を使ってカビを掃除しましょう。
- 消毒用アルコール(エタノール)
- 古歯ブラシや掃除用のブラシ
- ぞうきん
- 重曹
畳のカビを取り除く手順は、以下のとおりです。
- 窓を開け、部屋の空気を換気する
- 消毒用アルコールを吹きつけて10~20分ほどおく
- ぞうきんやウエスでカビをふきとる
- しつこいカビは古歯ブラシでかきだす(重曹を粉のまま振りかけてかきだしてもよい)
- 再度、消毒用アルコールを吹きつける
- 十分に乾かす
なお、水分が残っていると再度カビを発生させる原因となります。水は使わず、消毒用アルコールを利用しましょう。なお、酢を水で10倍に薄めたものでもカビを落とす効果が期待できます。この場合は、酢水でカビを落としたら乾いたぞうきんで水気を十分に拭き取り、よく乾燥させましょう。なお、畳を敷いた部屋に窓がなかったり風通しが悪かったりする場合は、扇風機やエアコンのドライ機能を使ってもいいですね。
2-2.畳全体にカビが発生した場合の対処方法
畳全体にカビが生えてしまった場合は、畳をあげて屋外でカビ取りを行いましょう。屋外でカビ取りできる場所がない場合、畳をあげて、風通しをよくしてから作業をします。なお、必要な道具は2-1.でご紹介したものと同じです。古歯ブラシの代わりに、より広範囲を掃除できる毛の細かいブラシを使用しましょう。また、作業中にカビの胞子を吸いこまないよう、マスクをして掃除してください。掃除の手順も2-1と同様ですが、カビが生えている範囲が広い場合は複数人で行いましょう。
2-3.畳にひどいカビが生えた場合は、床板も乾燥させる
畳にひどいカビが生えた場合は、畳の下もカビが生えたり湿気で傷んでいる可能性があります。畳を上げるのは、床板を確認するためです。床板にカビが生えている場合は、消毒用アルコールと掃除用ブラシでかき落とし、完全に乾燥させましょう。床板に湿気が残っている場合は、完全に乾燥させてから畳を戻してください。
2-4.カビの臭いが取れない場合は酢水や消臭スプレーを使用する
カビを除去してもカビの臭いが取れない場合は、水で10倍に薄めた酢水や消臭スプレーを使いましょう。ただし、酢水はまだ新しくて青い畳に使用すると変色する可能性があります。新しい畳には消臭スプレーを使ってください。また、水分は必ず入念に拭き取りましょう。換気を十分にすれば、だいぶ臭いが取れるはずです。
3.やってはいけない畳のカビ取り方法・掃除方法
この項では、間違った畳のカビ取り方法や掃除方法を紹介します。
3-1.密閉した部屋で掃除機をかける
密閉した部屋で掃除機を用いてカビを取ろうとすると、微細なカビの胞子を部屋中にまき散らすことになります。ブラシをかけてカビをかき落とした後で掃除機をかける場合は、必ず窓や扉を開けはなって換気をしながら行ってください。
3-2.水拭きで掃除する
畳に湿気は大敵です。水拭きをしたい場合は、硬く絞ったぞうきんで拭いた後、必ずからぶきして水気を取ってください。水をつけたブラシでカビをかき落とそうとすると、余計にカビを発生させてしまいます。畳の掃除に水は極力使わないようにしましょう。
3-3.畳に直射日光を当てる
畳内部の湿気を取るために戸外に干すのはおすすめですが、直射日光に当ててはいけません。畳に直射日光を当てると、焼けて変色してしまいます。畳を戸外に干す場合は、風通しのよい日陰に干してください。
3-4.畳の上にカーペットなどを敷く
畳の汚れ防止にカーペットなどを敷くと、湿気がこもりがちになります。かえってカビやダニの温床になることもあるでしょう。また、カーペットと畳の間にゴミなどが挟まると不潔です。どうしても畳を保護するために何かを敷きたい場合は、イグサのラグやゴザを敷いてください。また、ゴザやラグは定期的に外して掃除機をかけましょう。
4.畳のカビを予防する方法
この項では、畳のカビを予防する方法を紹介します。
4-1.温度と湿度に気を配る
前述したように、カビは高温多湿の環境を好みます。低温で乾燥した状態であれば、畳にカビは生えにくくなるでしょう。今の家は気密性が高く、密閉した室内でエアコンを使っていれば、どうしてもカビは生えやすくなります。1日1回は換気をして湿度や温度を調節しましょう。畳を敷いた部屋に温度計と湿度計を設置しておくのもおすすめです。
4-2.結露に気を配る
畳と壁、畳と窓の境い目にカビが生える場合は、結露の可能性があります。結露防止シートや結露給水テープなどを用いて結露対策をすることで、結露が原因のカビを防ぐことができるでしょう。
4-3.除湿機やエアコンのドライ機能を使う
梅雨時など湿度が高くなりがちな季節は、換気をしたくらいでは追いつかないことがあります。この場合は、除湿機やエアコンのドライ機能を使って畳を湿気から守りましょう。扇風機も一定の効果が期待できます。
4-4.畳の上にものを置かない
畳の上にものを置くと、湿気が畳の内部に籠りがちです。前述したようなカーペットはもちろんのこと、布団や家具・家電なども極力置かないようにしましょう。特に、布団は汗で湿気がこもりやすいので、面倒でも毎日たたんであげてください。
4-5.定期的に畳を上げる
畳と床板の間にも湿気がたまるので、定期的に畳を上げましょう。陰干しするのが一番ですが、空き缶などを支えにして30cmほど畳をあげておくだけでも空気が循環して湿気を逃すことができます。空気が乾燥した晴れの日を選んで3か月に1度くらいの割合で畳をあげましょう。
4-6.畳を敷いた部屋を閉めきりにせず、定期的に掃除をする
畳を敷いた部屋を閉めきりにしていたり長い間掃除をしたりしないと、どうしてもカビが生えやすくなります。使っていない部屋でも、定期的に換気をして掃除機をかけましょう。
5.畳替えの方法や業者の選び方
この項では、畳替えの方法や目安、業者の選び方を紹介しましょう。
5-1.カビが畳全体に広がったら交換する方法もある
カビが畳全体に広がった場合、掃除をするだけでも大変です。この場合、畳を交換してくれる業者に「畳表(たたみおもて)」だけ交換できないか尋ねてみましょう。畳表とは畳床を覆っているイグサのシートのことで、カビはたいてい畳表だけに生えています。畳全体を交換するより安く済むケースもあるでしょう。
5-2.畳がブカブカしている場合は全体を交換する
日本の伝統的な畳は、すべて植物由来のもので作られています。ですから、湿気によって腐ることもあるでしょう。畳を踏んだときにブカブカとした場合は、畳床まで湿気で傷んでいる可能性が高いので全体を交換するのがおすすめです。また、畳の寿命は約10年といわれています。10年を過ぎた畳は交換を検討しましょう。
5-3.畳の交換は畳店やホームセンターに依頼する
畳の交換は畳の専門店のほか、ホームセンターやリフォーム業者でも行っています。畳はたくさんの種類があり、カビにくい畳も販売されているので、カビが原因で畳を交換する場合はおすすめです。なお、畳はイグサの種類や産地、畳床や畳べりの種類によって値段が異なります。最高級のものは品質も良いですが、手入れにも手間がかかるものです。よく説明を聞いて、ライフスタイルに合ったものを選びましょう。
5-4.伝統的な畳と近年の畳の違い
前述したように、伝統的な畳は畳床がわらでできています。吸湿性にすぐれて厚みがあり、裏返しをしたりして長く使うことが可能です。その反面、重くて高価なのでマンションなど集合住宅では使えないこともあるでしょう。近年の畳は、畳床が合板や発泡スチロールです。軽くて扱いやすく、安価な反面、裏返しができなかったり薄くて吸湿性が低かったりします。どのような畳を選ぶかは、ライフスタイルで決めてください。
5-5.畳替えの相場は1畳1万円前後から
畳替えの相場は、表替えが1畳1万円台~、新調が1畳1万5千円台~が相場です。それより安いものもありますが、あまり安価なものは寿命も短くなるので、気をつけましょう。ちなみに、イグサは国産のものと外国産のものがあり、外国産のものの方が2~3割ほど安価になっています。また、畳べりも模様が入っているほうが高価です。
5-6.不要になった畳は粗大ゴミとしても処分可能
畳を新調して古い畳が不要になった場合、業者が引き取ってくれることが多いでしょう。無料なところも多いので、畳替えを依頼する場合は引き取ってくれるかどうか確認してから申し込みましょう。また、多くの自治体で畳は粗大ゴミとして回収してくれます。事情があって自分で畳を処分したい場合は、粗大ゴミとして回収してもらいましょう。なお、畳を切れば燃えるゴミとして処分できると紹介しているサイトや本もありますが、畳を個人で切るのは大変です。無理をしないようにしてください。
5-7.畳替えは時間に余裕を持って行う
畳替えは時間がかかります。最近は朝に古い畳を引き取り、夕方には新しい畳を入れてくれるところもありますが、特殊な加工をしたり、伝統的な畳は納品まで1週間以上かかることもあるでしょう。また、年末年始や2~3月の引っ越しシーズンは畳店・ホームセンターが混みあい、時間がかかることもあります。畳のカビがどうにもならなくなってから慌てて取り替えるより、時間に余裕を持って取り替えましょう。
まとめ
ここまで読んでいただければ、畳のカビの取り方やカビを予防する方法がよくお分かりいただけたと思います。現在の家は、伝統的な日本家屋よりも気密性が格段に高くなりました。そのため、湿気がこもりやすく家が建っている環境によっては畳にカビが生えやすくなっています。ですから、こまめに換気をして畳に湿気が残らないように心がけましょう。また、畳の掃除には極力水を使わず、十分に換気をしながら掃除をするのがおすすめです。最初の2年を乗り切れば、あとはカビが生えにくくなるでしょう。