小型家電の回収でお悩みの方!リサイクル法と回収方法4つのポイント
日常生活には欠くことができない小型家電ですが、壊れて使いものにならなくなった場合「どうやって処分すればいいの?」と迷いますよね。小型家電を処分するには、平成25年4月1日から施行された「小型家電リサイクル法」にしたがって回収・処分しなければなりません。小型家電リサイクル法という名前は聞いたことがあっても、どんな家電が対象でどのように回収してもらえるのか、詳しいことはよくわからないという人も多いでしょう。そこで、ここでは、小型家電リサイクル法や回収方法などについて詳しくご説明します。
この記事を読むことで、小型家電をどのように処分すればいいのかがおわかりいただけるでしょう。ぜひ、お役立てください。
1.小型家電の回収の基礎知識
小型家電の回収に関して、知っておきたい基礎知識をご紹介しましょう。
1-1.小型家電リサイクル法について
1-1-1.小型家電リサイクル法とは
「小型家電リサイクル法」とは、平成25年4月1日から施行された法律で、正式名称は「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」といいます。価値のある金属などを使用している小型家電をそのまま廃棄処分せず、再資源化して有効に活用しようという目的で定められました。市区町村が消費者から小型家電を回収し、国が認可を与えた事業者がそれぞれの小型家電に合ったリサイクルを促進します。
ただし、回収を行っているのは小型家電リサイクル制度に参加をしている市区町村(もしくは回収に協力している家電量販店)だけです。また、回収対象となる小型家電も地域によって詳細は異なります。
1-1-2.小型家電リサイクルのメリット
小型家電リサイクル法は、どのようなメリットがあるのでしょう。実は、処分する消費者にとって直接メリットと感じることはほぼありません。しかしながら、ベースメタルやレアメタルなどの貴重な資源を、無駄にすることなく有効に使う活動に参加することができます。
現在、日本で1年間に廃棄される小型家電は約65.1万トンです。そこに含まれている貴重な金属は約27.9万トンになり、金額にすると844億円になるといわれています。小型家電リサイクル法では、これらを有効に活用できるだけではなくゴミを減らすことができるのです。そして、ゴミの受け入れが限界に近づいている埋立処分場の負担も軽減できます。
1-2.小型家電リサイクル法の対象品目
小型家電リサイクル法では、400品目以上の家電が対象となっています。代表的なものをご紹介しましょう。
- パソコン:デスクトップパソコン・ノートパソコン・タブレット
- パソコン周辺機器:パソコンモニター・プリンター・スキャナー・周辺機器(キーボード・外付けのハードディスクドライブなど)
- 通信機器:携帯電話・スマートフォン・PHS・電話機・FAX
- カメラ:フィルムカメラ・デジタルカメラ・ビデオカメラ
- ゲーム機:ゲーム機(据え置き型・携帯型)・周辺機器(コントローラーなど)
- 音響機器:オーディオプレーヤー/レコーダー・ステレオ(CD・MD・テープなど)・スピーカー・アンプ・ラジオ
- 映像機器:プレーヤー/レコーダー(HDD・DVD・BD・ビデオなど)・衛星放送用アンテナ・チューナーなど
- 電子楽器:電気ギター・電子キーボード
- 車関係:カーナビ・カーステレオ(CD・MD・テープなど)・ETC/VICS・周辺機器(チューナー・スピーカー・アンプ等)
- 生活家電:掃除機・加湿器・除湿機・空気乾燥機・電気ストーブ・電気カーペット・電気アイロン・家庭用ミシン・ドライヤー・電気カミソリ・電気歯ブラシほか
- キッチン家電:炊飯器・電子レンジ・ジューサーミキサー・コーヒーメーカー・トースター・ホットプレート・ジャーポット・食器乾燥機ほか
- そのほか:リモコン・電動工具・電動工具・電卓・時計
私たちが、日常的に使用している多くの小型家電が対象になっています。
1-3.小型家電リサイクル法の特定対象品目
対象品目の中でも、「特定対象品目」とされている小型家電があります。分別がしやすく資源性が高いため、特にリサイクルが推奨されているものです。できるだけ多くの人から回収することが目的なので、特定対象品目は消費者が処理料金を支払わなくてもリサイクルできます。ただし、自治体によって詳細は異なるので事前に確認してください。
特定対象品目となっているのは以下の製品です。
- 携帯電話端末・PHS端末・パソコン(ディスプレイを含む)・タブレット
- 電話機・FAX
- ラジオデジタルカメラ・ビデオカメラ・フィルムカメラ
- 映像用機器:DVD・HDD・ビデオほか
- 音響機器:オーディオプレーヤー/レコーダー・ステレオ(CD・MD・テープなど)ほか
- 補助記憶装置:HDD・USBメモリー・メモリーカード
- 電子書籍
- 電子辞書・電卓
- 理容用機器:ドライヤー・ヘアーアイロン・電気カミソリ・電動歯ブラシほか懐中電灯
- 時計
1-4.小型家電リサイクルマークについて
無許可の回収業者が勝手に小型家電回収を行わないよう、そして、消費者が安心して小型家電を引き渡せるように、環境省ではマークを制定しています。小型家電リサイクルの認定業者であることを証明できるマークです。
小型家電リサイクルマークは、黒いごみ箱のシルエットに、白でローマ字の「R」と矢印を配したデザインとなっています。そして、その下に白い「E-Waste」の文字があるのです。小型家電認定事業者の場合は、そのマークの下に「小型家電 大臣認定000000(番号)」、市区町村の場合は「小型家電 ◯◯市(市区町村名)」と書いてあります。
1-5.家電リサイクル法との違いとは
家電リサイクル法と小型家電リサイクル法はどう違うの? と思っている方もいるでしょう。家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)とは、平成13年4月1日に施行された法律です。対象になる家電は、テレビ・エアコン・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(乾燥機)の大型家電4品目になります。
これらの家電は、1年間に約60万トンもゴミとして排出され埋め立てられてきました。しかしながら、埋め立て地も限界に近づいてきたために、資源を再利用し廃棄物を減らそうと制定されたのです。小型家電は、自治体や認定業者が回収します。けれども、家電リサイクル法の4品目は、家電販売店が家電を回収し製造メーカーがリサイクルをするのです。処分費用は有料で、数千円(対象品目によって異なる)+運搬料金が必要になります。
2.小型家電の回収について
不要になった小型家電は、どのように回収するのでしょうか。
2-1.小型家電の回収方法
小型家電の回収方法は、自治体によって詳細が異なります。一般的な方法をご紹介しましょう。
2-1-1.ボックス回収
黄色い「小型家電回収ボックス」に、不要な小型家電を入れる方法です。回収ボックスの設置場所は、主に自治体の役所入り口・大型家電量販店・スーパーなどになります。ボックスに入れられるのは、だいたい「縦15センチ×横40センチ×奥行き25センチ以下の小型家電」です。持参するときに入れていた袋からは出してボックスに入れてください。
※回収ボックスの設置場所や回収ボックスに入れることができる家電の詳細は、各自治体のホームページで事前に確認しましょう。
2-1-2.ステーション回収
燃えるゴミや燃えないゴミ、資源ゴミの回収場所などと同様に、ステーション(ゴミ排出場所)となっている場所に、小型家電回収用コンテナを設置して回収します。回収日時や場所は、各自治体のホームページなどで告知されるのでご確認ください。
2-1-3.ピックアップ回収
小型家電を、粗大ゴミや燃えないゴミで出してもらい回収します。そして、ゴミ処理施設で自治体の職員が小型家電だけをピックアップして回収する方法です。
2-1-4.集団回収・市民参加型回収
資源物の集団回収を行う市民団体が、小型家電を収集する方法です。数か月に1度、数週間に1度など、市民団体によって回収回数や日時や場所は異なります。
2-1-5.イベント回収
各地域でイベントがあるときに、小型家電回収ボックスを会場に設置し、参加者が排出したものを回収する方法です。
2-1-6.そのほかの回収
地域によっては、消費者が直接清掃工場に小型家電を持参したり、自治体から依頼を受けた業者が家庭に訪問したりして回収する方法もあります。
2-2.小型家電を排出するときの注意点
小型家電を回収してもらうときには、以下のようなことに気を付けてください。
2-2-1.小型家電回収ボックスに入れるとき
携帯電話やスマートフォンなどは、個人情報やデータを自分で消去してください。また、デジタルカメラなどのデータを保存した記録媒体も取り出すのを忘れないようにしましょう。
1度回収ボックスに入れた小型家電は、返却してもらえないので注意が必要です。回収ボックスに入らない小型家電はどのような回収方法を行っているかは、自治体のホームページや電話などでご確認ください。また、携帯電話などは販売店でも回収を行っています。
2-2-2.パソコンの回収は製造メーカーに依頼
パソコンは製造メーカーで回収を行っています。「PCリサイクルマーク」が付いているパソコンなら無料で回収してもらえるのです。付いていないパソコンの場合は、回収・再資源化費用を負担する必要があります。
回収に出すときには、パソコンのハードディスクに残されている個人情報やデータなどは、自分で完全に消去してください。データ消去ができるソフトを利用したり、物理的にハードディスクを壊したりなどの方法があります。けれども、完全に消去できるか自信がない場合は、データ消去と回収・買取・再販売を行うパソコン専門業者に出すのもおすすめです。
※PCリサイクルマーク:2003年10月1日以降に販売されたパソコンに付いています。製品の後部や底部の機種銘板などをチェックしてください。
3.家電回収業者に頼む場合
基本的に、小型家電は、「2-1.小型家電の回収方法」でご紹介したように、自治体の回収方法にしたがって処分します。けれども、環境省認定の小型家電認定業者なら回収を依頼することもできるのです。
3-1.小型家電回収業者選びのポイント
小型家電を回収できるのは、国の許可を得ている業者だけです。「1-4.小型家電リサイクルマークについて」でご紹介した「小型家電リサイクルマーク」を提示している業者を選んでください。業者のホームページにある「会社概要」のところに提示しています。
3-2.回収してからどうなるのか
国の認定許可を得ている業者は、回収した家電の盗難や紛失を防ぐために、回収から処理工場までの運搬処理には厳重な防犯システムで管理しています。また、パソコンなどは個人情報がもれないように厳重に処理を行っているのです。そして、回収した小型家電の素材を選別し、分解・破砕処理をして有用な金属を取り出し、家電メーカーなどに原材料として戻して再び製品に使用します。
3-3.回収できないもの
「1-2.小型家電リサイクル法の対象品目」で挙げた400品目以上の小型家電が回収対象です。家電リサイクル対象となるテレビ・エアコン・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機・乾燥機の大型家電4品目は回収できません。
3-4.まだ使用できる小型家電は家電買取業者に
まだ、使用できる小型家電は、処分するのももったいないので家電の買取・再販売を行っている業者を利用するのもおすすめです。そのような業者では、買取した家電にメンテナンスや修理を施して再販売をしています。業者によって、システムや買取料金などの詳細は異なりますが、基本的にはな以下のような流れです。
- 業者に、電話やホームページの申し込みフォームから買取を依頼する
- 業者が製品の査定をして買取金額の見積もりを提示する
- 見積もりに納得がいけば交渉成立となり、買取金額を支払ってもらえる
※業者によって、査定は店頭持ち込み・宅配で送る・出張訪問してもらうなどの方法で行います。業者のホームページでご確認ください。
※家電買取・再販売を行うには「古物商の許可番号」が必要です。業者を選ぶときは、ホームページの会社概要に掲載されているか確認しましょう。
3-5.家電回収業者・家電買取業者に依頼するときの注意点
3-5-1.こんな業者にご用心!
最近は、無許可で小型家電の回収や買取などを行う業者が増えて問題になっています。以下のような業者には用心してください。
- 会社名や電話番号などが書いていない小型トラックで「不要になった家電を引き取ります」とアナウンスしながら巡回している業者
- 空き地などで「不要品回収」ののぼりを立てて回収している業者
- チラシやインターネットで「家電回収」「家電買取」の広告を出しているものの、小型家電リサイクルマークや古物商の許可の表示がない業者
3-5-2.不許可の業者によるトラブル
無許可の回収業者に小型家電を引き渡すと、法にしたがって適切なリサイクル処理が行われているかどうかを追跡確認することができません。また、以下のようなトラブルの事例が報告されています。
- 不要な家電を無料で回収しますといいながら、あとから料金を請求してくる
- 不法投棄:無許可の業者が、有料で回収した家電を不法投棄する
- 不適切処理:環境対策が行われていない場所で家電を破壊し、フロンガスなどの有害物質が放出してしまう
- 不適切な管理による火災:電池やプラスチックを含んでいる家電が、管理の行き届かない場所に山積みされ火災が発生
もし、小型家電の処分に迷ったら、まずは市区町村役場にお問い合わせください。
4.小型家電の回収~よくある質問~
小型家電の回収に関するよくある質問をご紹介しましょう。
4-1.パソコンを処分するとき
A:パソコンを自治体の回収に出して処分するときは、初期化するだけではだめでしょうか。
Q:初期化するだけではデータは消去されていません。専用のソフトを入手して消去してください。インターネットからも有料・無料のソフトを入手できます。また、物理的にハードディスクを破壊する方法も、インターネットにいろいろと出ていますので参考にしてください。
4-2.回収ボックスは安全?
A:古い携帯電話を自治体の回収ボックスに入れようと思っているのですが、盗まれたりしないのかちょっと不安です。安全でしょうか?
Q:回収ボックスは盗難防止のために、頑丈な施錠をするなどの盗難防止対策を行っています。また、回収後は穴開け作業をして個人情報が流出しないようにしてから、認定許可を持つ処理業者へと引き渡すので安心・安全です。また、携帯電話の販売店でも回収しているので、回収ボックスが近くにない場合などはそちらをご利用ください。
4-3.割れたり壊れたりしている小型家電
A:壊れたラジオや割れているCDプレーヤーなども、回収ボックスに入れていいのでしょうか?
Q:割れたり壊れたりしている小型家電でもリサイクルにはまったく支障はないので大丈夫です。ただし、回収ボックスに入れるときには、できるだけ静かに入れましょう。
4-4.小型家電リサイクルマークについて
A:小型家電リサイクルのマークを見てみたいのですが。
Q:環境省のホームページ「小型家電の再資源化に関するロゴマークの決定について」のページに掲載されています。ご覧ください。
http://www.env.go.jp/press/16107.html
4-5.事業所からの小型家電は?
A:事業所で不要になった小型家電をステーション回収場所に出してもいいですか。
Q:小型家電の回収は家庭から排出するものだけに限られています。事業者から排出する小型家電は「産業廃棄物」扱いになるのです。自治体の役場に問い合わせをしてください。
4-6.小型家電から取り出せる有用な金属とは?
A:小型家電から取り出せる有用な金属とはどのようなものがあるのですか?
Q:金・銀・銅・鉄・アルミなどが取り出せます。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。小型家電リサイクル法や小型家電の回収方法などがおわかりいただけたかと思います。不要になった小型家電は、自治体が提示している方法で処分してください。ただし、自治体によって回収方法や回収品目が異なるので、事前に確認しましょう。また、まだ使用できる小型家電が複数ある場合は、家電買取業者に買取を依頼するのもおすすめです。自分に合った方法を選んでくださいね。