空き家を放置するリスクや危険性は? 活用方法などを詳しくご紹介
実家などが空き家になり、管理ができずに困っているという方が増えています。空き家でも放置していると税金などがかかり、負担になるケースが多いものです。空き家は賃貸やリノベーションするなど、活用方法がたくさんあります。空き家に関する悩みがある方は、対応策について覚えておくと安心です。
この記事を読むことで、空き家を放置する危険性や対応策についてよく分かります。治安維持や建物の老朽化を防ぐため、空き家を活用する方法を理解しておきましょう。
1.空き家の放置問題について
近年は、空き家問題が深刻化しています。空き家に関する問題点を覚えておきましょう。
1-1.空き家は増えている
空き家は増加傾向にあり、2013年の総務省による調査では、全国で820万戸もの空き家があることが分かっています。空き家は、管理がなされずに放置されているケースがほとんどです。不動産相続などをきっかけに、住み手がいなくなることが多くなっています。景観が悪くなるだけでなく、資産価値も低下していくのです。
1-2.少子高齢化が影響している
少子高齢化により、親と離れて暮らす子どもが増えました。そのため、地方の実家が空き家になっても、職場を変えることが難しく、実家を引き継ぐことができないケースが多いのです。遠方であれば、管理のために足を運ぶ機会も少なくなってしまいます。
1-3.家の老朽化が起こる
家は、経年劣化が起こります。老朽化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが必要です。空き家になってしまうと通気も悪くなり、湿気がこもってしまうため、老朽化が進みやすくなる問題が起こります。老朽化が進み、倒壊なども起こり得ることを想定しなければなりません。
1-4.管理できないと行政指導が入るケースもある
空き家は近隣の治安を悪くします。不審火や不審者の侵入など、周囲への悪影響も考えなければなりません。空き家を放置して問題が起きた場合、行政指導が入るケースがあります。解体費用の負担や固定資産税の増加など、思わぬ出費が起こることも想定しておきましょう。
1-5.空き家対策特別措置法について
空き家対策特別措置法は、2015年5月26日に施行された法律です。倒壊の恐れがある・衛生面で有害とみなす・景観を損なう・治安の問題があると判断された場合、自治体が立ち入り調査・指導・勧告・撤去命令ができるようになりました。空き家対策特別措置法に関する指針は、国土交通省がガイドラインを作成しているので参考にしてください。また、自治体からの指導に従わない場合、行政代執行による解体も行われます。費用負担は所有者となるため、空き家は早めに対策を講じることが大切です。
2.空き家の放置で起こり得るトラブル
空き家を放置した場合、さまざまなトラブルが起こります。トラブルやデメリットを覚えておきましょう。
2-1.不審火
空き家は、犯罪の対象となりやすいものです。不審火により、近隣の住宅まで影響を及ぼす恐れがあります。資産を失うだけでなく、近隣の補償もしなければなりません。
2-2.不審者の侵入
不審火に続き、不審者が住み着いてしまうケースも目立ちます。治安の悪化や犯罪の温床となり、管理責任を問われることもあるのです。
2-3.倒壊
空き家は管理不足により、劣化が進みやすいものです。庭木が茂り、家の耐久性も失われ、倒壊の危険性も増すでしょう。地震による倒壊のリスクも上昇するため、きちんと管理して維持することが大切なのです。
2-4.固定資産税が上がる
自治体から「特定空家等」と認定された場合、固定資産税の軽減対象から除外されます。敷地面積に応じて増税額は異なりますが、都市計画税を含め、3〜4倍もの増税になる可能性があるのです。
3.空き家の管理について
空き家の管理方法や問題点などをご紹介します。
3-1.相続人に管理義務がある
空き家の管理義務は、相続人にあります。遺産相続で引き継いだ場合、移住する・賃貸などのビジネスに応用する・売るなどの方法を選ぶことが大切です。
3-2.空き家の状態でも管理できていれば問題ない
空き家になっていても、定期的にメンテナンスをしていれば問題ありません。
- こまめに訪問して家の状態を確認している
- ポストや郵便物の処理をしている
- 庭木の手入れを怠っていない
- 窓を開放して掃除をする
管理できている状態であれば、空き家として自治体から指導を受けることはないでしょう。
3-3.空き家管理の問題点はさまざま
空き家でも、固定資産税や都市計画税などは支払わなければなりません。空き家の期間が長いほど、無駄な出費となるでしょう。また、管理不足による建物の劣化で、移住を決めたときに住めない状況になっている恐れもあります。また、売りに出してもすぐに買い手がつくとは限りません。近年は、多少相場より値下がりしますが、買取後にすぐ現金化してくれる不動産業者もあります。空き家を放置するより、住む予定がないのなら、すぐに現金化する方法も考えてみましょう。
4.空き家の対応策
空き家でも活用法はあります。ただし、空き家になって時間が経過していると、活用できなくなってしまうため、早めに決断することが大切です。対応策を覚えておきましょう。
4-1.自治体による対応策
自治体では、独自に空き家対策を講じています。岩手県釜石市では、空き家バンクを開設し、賃貸にしたい・売りたい人と、空き家への入居を希望する人のマッチングを提供しているのが特徴です。宮城県仙台市では、空き家の所有者や今後空き家になる予定の家がある人に向け、法律などの専門家による無料相談会を実施しています。石川県金沢市では、空き家を集会所などに利用するなどを考えている方に、地域連携空き家等活用事業として補助制度を設けているのです。自治体ごとに行っている対策が異なるため、お住まいの地域に確認しましょう。
4-2.売却
固定資産税の支払い・管理維持の難しさ・移住する予定がなく困っているという方は、売却を考えてみましょう。費用負担がなくなるのに加え、売却が成立すれば現金化できるのがメリットです。ただし、不動産業者の買取価格やシステムには違いがあるため、あらかじめリサーチし、信頼できる業者を探すようにしましょう。
4-3.賃貸
賃貸は、リノベーションしておくと内覧時の印象がよく、すぐに借り手が見つかる場合が多くなっています。初期費用はかかりますが、毎月家賃収入を得られるため、固定資産税などの負担が軽減されるでしょう。また、更地に戻し、駐車場として貸し出す方法もあります。賃貸の形も、土地のニーズに合わせて考えることが大切です。
4-4.移住する
最もシンプルな方法は、空き家となった実家に移住することです。しかし、仕事や学校の都合もあり、実現が難しいケースが多くなっています。落ち着いて住める時期が来るまで賃貸に出し、数年後に移住するという形でも問題ありません。
4-5.売れない場合は寄付も考えよう
売れない場合は、営利法人・法益法人・自治会・町内会などに寄付することも考えてみましょう。ただし、営利法人だけ、寄付するときに譲渡所得税は発生します。ほかの寄付先には、税制優遇があるため、寄付しても相手の負担は少ないものです。不動産相続前なら、相続を放棄する方法もあります。相続放棄には期限があるので、手続きは早めに行いましょう。
4-6.空き家になる前に対策を講じることが大切
空き家の期間が長引くと、管理しなければならないという意識も薄れていきます。倒壊や行政代執行があってからでは、費用負担が大きくなるばかりです。空き家になる前に、早めに対策を講じ、資産価値が維持できているうちに対策を講じることが重要なポイントになります。
4-7.ライフスタイルに見合う空き家対策を行うことが大切
将来住む予定がない・今の生活を変えるのに抵抗があるという方は、ライフスタイルに見合う空き家対策を考えることが大切です。放置して解体を要するなど大きな出費となる前に、空き家対策をしっかり行っていれば、資産相応の評価をしてもらうことができます。
5.空き家に関してよくある質問
空き家に関する質問を集めました。
Q.空き家を売却する場合、解体してからのほうがいいのか?
A.不動産業者では、建物がある状態でも買取が可能です。買取後、リノベーションするなどの方法で家をリフレッシュし、再販することができます。売却時に、不動産業者とよく相談しましょう。
Q.空き家の庭はなぜ手入れが必要となるのか?
A.庭木の繁茂により、隣家にはみ出してしまうことがあります。隣家との境界線を越える場合、枝や根などは切り落とさなければなりません。近隣トラブルで多い事例であるため、必ず手入れを行いましょう。
Q.空き家を放置すると、土地の価格も下落するのか?
A.はい、下落する可能性があります。土地が下落してしまうと、維持費以上の損失が起こるものです。そのため、こまめにメンテナンスをしておくことが大切なポイントになります。
Q.空き家を解体した場合、売却以外に活用法はあるのか?
A.駐車場にし、定期収入を得る方法もあります。また、アパートなどに建て替えをし、家賃収入を得るビジネスを始める方もいるので、空き家を無駄にせず、有効活用することが大切です。
Q.空き家はどのくらい放置すると劣化が始まるのか?
A.空き家の劣化は早いものです。6か月も放置されてしまえば、人が住むことができない状態になってしまいます。将来住む予定がある場合は、こまめに換気や手入れを行うようにしましょう。
まとめ
近年は空き家の数が増え、社会問題となっています。空き家を放置すると、外壁の落下や倒壊などの危険が高まるため、対策を講じることが大切です。放置すると、固定資産税の増税や行政代執行による解体費用の請求など、費用負担が増えてしまいます。空き家はきちとメンテナンスをして維持するか、売却や賃貸などの活用法もあるため、ライフスタイルに見合う方法を選択しましょう。